私はサッカーを通して世界30カ国を旅することができた。ふらちにも22カ国でゴルフもプレーさせていただいた。北はフィンランド、スコットランド、イタリア、ドイツなど、南はニューカレドニア、オーストラリアなどだ。
ゴルフ場を訪ねるのは、もちろんゴルフのプレーが好きだからだが、そこで得たものは、スキルでははく、マナーとエチケットだ。グッドプレーよりグッドマナーをゴルフ場という「施設」から教わった。携わる方々の身なりや言動から、大人が範を示すことの重要性が伝わってきた。
思えば昨年の初頭から、スポーツ指導者の体罰問題が嵐のように報道された。登場する湯識者のコメントは理想論的な意見が多く、高校生からプロまでサッカーの現場を預かった者として、現実味が感じられなかったものだが、スポーツ界は逆風の中にあった。
流れを変えたのが、昨秋の東京五輪・パラリンピックの招致決定だ。爽やかな風はソチ五輪、Jリーグ開幕と続いたが、再び嵐が吹き荒れた。浦和サポーターの横断幕事件だ。
「JAPANESE ONLY」と掲出したのは問題視されていたサポーターのようだが、対応した浦和フロントにも問題があると感じた。そう思いながら見ていると、翌日にJリーグチェアマンが厳正に対処する移行を示し、浦和社長の陳謝と続き、リーグ初の無観客試合の裁定決定となった。
ことしのワールドカップ(W杯)も5大会連続出場を果たす日本サッカー界で発生した突然の出来事に各紙が1面で争うように書き立てた。Jリーグの処分を報じた3月14付の神奈川新聞社会面には弁護士までが登場。大変な騒ぎとなった。
Jリーグは22年目のスタートを切ったばかりで100年以上の歴史があるサッカー先進国とは異なるはずだが、妙に形だけまねることが好きなようだ。日本には日本の事情がある。サッカー先進国の社会事情を熟知し、日本の事情と照らし合わせて進めていくことが賢明な選択ではないか。
今回の問題の発端はサポーターの無知。彼らが「レッズサポーター ONLY」と書いていたならば、とも思うのだが。掲示を放置しながら当該サポーターにはレッドカード。ならば運営責任のある浦和にこそ、カードが出るべきだろう。
人種差別の本質を知らず、表面上で語るのは愚かだ。歴史の浅いリーグが世界に認められるために必要なことがある。グッドプレーはもちろんグッドマナーを問いたい。
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