Lee’s Words 李国秀オフィシャルブログ

あえて言おう、日本はセネガルに負けるだろうと……コロンビア戦とFIFAからのメッセージについて

───W杯が始まり1週間以上が経ち、すでにさまざまなことが起こりました。優勝候補のアルゼンチンがクロアチアに3-0で敗れるというショッキングな結果も出ています

アルゼンチンの話をすると、基本的にアルゼンチンはパスゲームができない。ブラジルはパスゲームをしてくるチームですけれども。

メッシが所属しているバルセロナはパスゲームをしながら、要所でメッシがドリブルで切り刻むというスタイル。しかしアルゼンチン代表はボールを奪ったらドリブルから入る選手が多い。そういう違いはある。

それ以上に今回のW杯で象徴的なのはVAR、ビデオ・アシスタント・レフェリーです。

あれはファールやごまかしはダメですよというFIFAからの明確なメッセージですよね。

───たしかに映像で示されると納得感が生まれ、ファールが減るように思えます。

ファールを見逃すと何が起こるかというと、技術が上達しないんですよ。サッカーの今後の発展を踏まえた導入でしょう。もしくはレフェリングの統一性を知らしめる意味もあるかもしれない。

技術、判断力、フィジカルとある中で、フィジカルが全面に出るとサッカーの魅力が失われるとFIFAが考えているのでしょう。

───世界のサッカーがまた進化していきますね。

一方でテレビ中継を見ていると解説者の使う言葉がなぜ進歩しないのだろうと思ってしまいます。

ある解説者が「このチームはカウンターが速いですね」なんて言ってましたけど、カウンターって速いものですからね。そういう基本的な言葉の使い方がとても気になります。

───サッカーに詳しくない一般国民の目線に合わせているから、サッカー人から見るとおかしな感じになってしまうのでは?

でも日本ってW杯に6回も出ている国ですよ。なぜ国民のサッカー観が進化しないのでしょう?

───それは多くの人にとってサッカーへの理解がどれだけ深まろうとも年収が上がったりとか、地位が上がることがないからでしょう。サッカーマニアはともかく一般の人にはハードルが高すぎますよ。

そんなものですか。

───たとえば会社員だと、四六時中仕事のことを考えている人は「熱心だ」とか「信頼できる」という評価が与えられるかもしれませんが、四六時中サッカーのことを考えていると公言する人が信頼されるとは思えません。実情、四六時中サッカーのことを考えていたとしても、職場とか公の場ではは隠しますよね。

でもサッカーを理解したほうが精神的な豊かさを感じられるのでは?

───もちろん熱量を持った人は大勢いて、SNSとかネットでは深い議論をしている人たちもいますし、情報力もあります。ただ、一般の人々がサッカーへの理解力を競い合う状況にはなっていません。

私と話して「サッカーがよくわかるようになりました」なんて言ってくれる人も多いですけれどもね。

───それは社交辞令もあるのでは(笑)。「サッカーに詳しい」=「趣味に熱中する自分勝手な人間」というメッセージになってしまうので、表に出しづらい社会的圧力があるように思いますよ。欧州のような階級社会は上位の10%くらいしかチャンスがないから社会的圧力を気にしない人も多いのでしょうけど、日本は建前上はみな頑張れば全員にチャンスがあるということになっていますから、親しい仲以外ではサッカーへの理解力を競い合う雰囲気にはなりづらいですよ。

【コロンビア戦について】

───日本代表についてもコメントをお願いいたします。日本はコロンビアに勝利しました。「国民の関心を引き寄せた1勝」と神奈川新聞に寄稿していましたね。

コロンビアがハメス・ロドリゲスをなぜ入れたのかと、とやかく言う人が多いんですけれども、私は賛成か反対かと言われれば賛成です。

対メディア、対国民世論を踏まえた上での交代であって、あれはあれで重い決断なんですよ。

日本はそんなこと考えてやってないですけれども。社会事情も違いますし。だから日本の方がいろいろな意味で軽いんです。

どのチーム・選手もみなドロドロとした中で戦っていて、だからこそ重いんですけど、日本は少し軽いんですよね。監督をポンと替えてしまったり。

その軽さ、「負けてもともと」という雰囲気が今回の日本代表のような気がします。

コロンビアのペケルマン監督は負ければ仕事を失うし、名誉も失う。監督としての理論も衰退するでしょうし。

───非常に運の要素が強いゲームに見えました。前半3分の退場劇も大迫選手のシュートがGKに当たり、その跳ね返りを香川選手がシュートしてハンドからのレッドカードになったわけですけれども、大迫選手がシュートをすんなり決めていればコロンビアは11人のままでした。つまり、シュートを外すことによって、より有利な状況になるという結果になりました。

サッカーに「下手な方が良い」ということはないわけで。運任せ、運頼みで結果的に良かったという話は指導者としては受け入れがたい話です。

あのシュートを外したから良かったんだよ、あれでいいんだよという人がいるならば、その人はサッカーを仕事にするのは向いていないでしょうね。

───大迫選手が外したから良かった、あれで良かったんだなんて言っている人は誰もいないと思いますけど、皮肉な結果だなとは思いました。

サッカーにはすごく悪いゲームをしても勝ってしまうことがあります。

何を課題として取り上げて次に繋げるかが重要ということです。

あのプレーを退場までさせていいのかどうかも今後議論になるかもしれないですし。

───個々の選手についてはいかがですか。

まずGKの川島選手はとても幼かったですよね。大きな世界大会でFKが壁の下を通ってゴールしてしまう光景はなかなか見られないものです。

両センターバックは平均点が65点だとしたら65点、両サイドバックは60点くらい。センターバックはいきなり相手が退場してしまったので評価の対象になる場面も少なかったのですが。サイドバックは一人多い状況を活かしていたとは言い難いプレーでした。

問題はボランチですよね。

───そんなに問題でしたか?

長谷部選手は50点くらいの出来でした。昔からボールに意図がある、プレーに抑揚があるという単語が当てはまらない選手でしたけど。

柴崎選手は惜しい選手。一流になれる素材ですけれども。

乾選手は、ドリブルという武器はあるんですけれども、左サイドバックの長友選手と全然噛み合ってないのがすごく気になりました。それに対して2人ともお互いにイライラした様子を見せないのが、不思議で仕方がない。高校生のチームみたいです。

───そういうものですかね。

大人のチームだったら噛み合わないときに「おい、ふざけるなよ」となるんですよ。それを合宿などを通して噛み合わせて確認して、さあ試合で見せようというのが本来あるべき姿です。けれども2人ともイライラしていない、幼いのかなとも思います。

───右サイドの噛み合わせはいかがでしたか?

左サイドほどで噛み合わないわけではないですが、さほどいい場面もなかったですね。

ただ原口選手の運動量は突出していますよね。マメによく動くというか。

一方で香川選手はほとんどいい場面はありませんでした。なぜ使ったのかと。

───本田選手と香川選手の比較でよりコンデションのいい方を選んだように見えましたけど。

いや、それは知らないけど。いずれにせよ乾選手と長友選手の関係がこのチームを象徴しています。野心家という感じではない。

───大迫選手と本田選手については?

大迫選手は前半30分くらいにビッグチャンスがあって、アウトサイドで打ってしまってタッチラインに出てしまったプレーが象徴的なんですけれども、世界の一流どころとは正確性に少し差があるかなと。

あの場面、右のインフロントで蹴っていればたとえ外したとしても力の使い方が上手いという評価になるんですけれども。

本田選手は何もいい部分はなかった。天才的な選手ですけれどもね。目についたのは後半の28分に右サイドのスペースにゴロで出せばいいところをフワっと浮かせて出してしまってミスになった場面。

西野監督も細かい部分をキツく言わないんでしょうね。チームとしての徹底度の低さ、緩さが垣間見えたシーンでした。

───岡崎選手は?

なぜ出したのだろうかと思ってしまいました。

動けるとか守備力があるというなら武藤選手が良かったのでは? コロンビア側から見ると、奪われてからの速攻が怖いのは武藤選手の方ですから。

いまさらな話ではありますけど、日本は柿谷曜一朗選手とか堂安律選手をなぜ選ばなかったのかと思いますね。鋭さのある選手が少ない。

【日本代表以外の目についたチーム・選手】

───日本以外で目についたチームや選手はいましたか?

ドイツですね。メキシコに負けはしましたが7番の選手は素晴らしい。

───ドラクスラー選手ですね。

後半の彼のプレーは良かったですよ。スケール感、可能性をすごく感じました。

可能性という意味ではロシアの17番も。

───アレクサンドル・ゴロビン選手。

あとは韓国の10番にイ・スンウ選手というバルセロナの下部組織育ちの選手がいましたけど、あのくらいの技術を持った選手は日本にたくさんいますよね。

ただそういった選手を使う大人がいないことが日本の青年たちにとっての悲劇でしょう。

───そんなにたくさんいますか?

いますよ。日本以外のアジアにもたくさんいるんだと思います。

技術以外の賢さとかゲームを左右するプレーとか、次の段階で求められるものを見ていくとどうかなという見方もありますけど。

ただそういう上手い選手にトライもさせていない、選んでもいないのが日本の状況だと思います。

韓国ではGKのチェ・ヒョヌ選手がいい。韓国のGKって身長はあってもペナルティエリアの外には出ない選手ばかりでしたけど、あれだけ守備範囲が広いGKがいたことに驚きました。

───今回のW杯はグループリーグからエキサイティングな試合が多いと思うのですが。

開幕戦のロシアの快進撃から始まって、次の日のポルトガルとスペインの試合がなんと凄いゲームだったことか。

見どころはたくさんありました。クリスティアーノ・ロナウドとセルヒオ・ラモスのチームメイト同士のマッチアップ。あるいはスペインサッカー協会は監督解任を決断した手前、ヒヤヒヤしながら見ていたかもしれませんが、イエロ監督は選手交代も含めてとてもよくやったと思います。

あれで勝っていたらイエロ監督はいきなり世界のトップ監督になっていたのではとも思いますけど、クリスティアーノ・ロナウドがそれをさせまいと試合終了直前にFKを決めた。

歴史のめぐり合わせですよね。

───モロッコやペルーも敗退は決まりましたが、堂々たる戦いぶりだと思いました。

彼らは伝統があるから、日本みたいに負けてジタバタするようなことはないんですよ。

日本はW杯で負けるたびにジタバタして、レポートに「身体能力の差」と書いて、監督を替えてますけどね。

───メキシコvsドイツについては?

ドイツは非常に悪いゲームをしました。4-0で負けていてもおかしくないゲームでしたけど、1-0で終われてよかったねと。

センターバックの前には常にボランチがいなければならないのですが、常にいなかった。それがドイツ苦戦の原因です。すぐに修正できる問題だと思うんですけれども。

【セネガル戦の予想】

───セネガル戦はどうなりますかね?

あえて言いましょう。日本は2点差以上で負けると。

日本代表の課題は滑らかではないことです。ノッキングしている車のようにところどころで行き詰まる。

この大会中に滑らかさが生まれるとも思えない。そういう選手選考でもないですし。

───初戦のような交通事故的な勝ちもないですか?

初戦に勝ってしまっただけに期待はありますけど、選手選考からしてすでに滑らかに主導権を握ってサッカーをするメンバーではないですから。

1点差の負け、ないし引き分けなら上出来ではないですか。日本が負けて欲しいわけではなくて、冷静に技術、判断力などを比較すれば2点差以上の差があると思われます。

───セネガルの実力はどう見ていますか。

10番の選手、マネは時間を作るのが上手い選手です。

彼が左サイドで時間を作って、日本の選手が2人寄ってきたらパスをして、1人しか寄ってこなかったら抜いていく。そういう展開になるのでは。

前半でセネガルに2点が入ったら3点以上取られてしまう可能性もある。

───日本が点を取るとしたら交通事故しかないですかね?

あとはセットプレーとか。相手を崩して取りきる力が日本にあるとは思わない。

───だとしたら柴崎と本田、セットプレーキッカーを右と左で揃えて先発させた方がいいということですか?

1点取りにいくだけで満足ということであればね。でも日本は勝ちたいんでしょう?

守備的に引き分けに行くのもすごく難しいことですから、向かっていくのがいいとは思うんですけれども。

ただ、試合が始まって相手の実力を肌で感じたときに、落ち着いてボールを動かしながら相手の穴を探していくゲーム運びがはたしてできるかどうか。

相手が来たらパス、来なければドリブルで運ぶ。この基本だけでもセネガルとは差があります。

次にボールを動かしどこから攻めるか、どこでスピードアップするかを日本がやっているのか、セネガルがやっているのか。この点に注目しながら観戦するとおもしろいのでは。

ちょっと専門的な話ですけど、ポーランドはセネガル戦でボールを奪ってパスした方がいい場面でドリブルをするんですよね。

だからポーランドとは1点差勝負になると思います。

───ポーランド戦の方がまだ勝ち目があると。

いや、ないでしょう。ただグループリーグ最終節は勝たなきゃ予選落ち、あるいは1位通過、2位通過どちらになるかといったゲーム外の状況も重要ですから、それがどうなるか。

もしポーランドが3点取らなければ予選通過できないとなれば、日本相手に3点取れるくらいの力はありますよ。そういう戦い方に慣れているチームです。

───ある意味強気な予想ですね。スコアまで明言した日本敗退予想はなかなか見ないです。

強気とかではなくて冷静に見て、そうではないかと予想しただけですよ。

私はよく毒舌とか言われるんですけど、それは幼い見方で。人を貶めようとか、そういう考えはありません。常に意見、主張を持っているだけなんですけれもどね。

その意見を聞くかどうかは、その人の判断ですし。無理やり言い聞かせたりはしていませんし。

───日本社会では意見を持つことは良くないことですよ。そういう精神風土です。

精神風土とか難しい単語ではないでけれども、私も「沈黙は金」とか言われて育ちました。男は黙っている方がいいという風潮。

私が育った昭和はそういう時代でした。

───平成も本質は同じですけれどもね。ありがとうございました。

聞き手:@mzmktr

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